2007/03/25

豚肉の生姜焼き


日曜の午後、
昨日の夜から自然解凍させていた冷凍豚肉で生姜焼きを作る事にした。
テレビをつけると石川県が大変な事になっていた。
すぐに金沢在住の知人に連絡をしてみるが誰も電話が繋がらない。
仕様が無いので心配をよそに生姜焼きのタレを作り始める。

◎醤油・おろし生姜・酒・チキン出汁・黒胡椒
豚バラ肉を漬け込み、暫し放置する。

そもそも「豚肉の生姜焼き」という、今となってはスタンダードなレシピを最初に考えた人をご存知だろうか?
時は明治の終わり、当時としては珍しいドイツ人と結婚した小石川の婦人が亭主のために知恵を絞って考案したのが始まりだとされている。
日本の伝統文化に興味を持ち、日本工芸を学ぶ為に来日していた氏は、浅草の江戸切子の工房で働きながら大学に通っていたそうだ。
学生時代に知り合った二人は親の反対を押し切り、そのまま学生結婚し、数年後に小さなガラス工芸店を開業する。当初は好奇の目にさらされ、大変苦労をしたそうだ。
氏の作品が世に知られるようになったのは、それからさらに数年後、大正三年になってからの事である。
やっと日の目を見るようになった頃、折しも第一次大戦が始まり、長く続いたこの戦争はドイツの軍事的敗北と政治における大変革が起こり、氏は遠く離れた異国の地で我が祖国を愁い嘆いたという。
氏は祖国ドイツと日本を結ぶ文化を創り継承したいと願っていたとされており、陰から献身的に支える婦人の姿はいつの日か人々の目に温かく見守られるようになった。
晩年、病から身体を弱くした亭主になんとか元気になって欲しいと願った婦人は、日本では滋養に良いとされる生姜湯と、ドイツ人が大好きなソーセージを組み合わせて何か出来ないかと思案していた。
ソーセージは作り方が分からなかったので、原料となる豚肉を生姜と一緒に焼いてみたところ、亭主は大変喜び、「コレハウマイ!メシ、ナンバイデモクエル!」と歓喜の声を上げて体力も回復し、夫婦ともに96才まで長生きしたのだそうです。

と書いていたら、金沢の吉田さんから電話があった。
徹夜続きで寝てました。無事です。と。

程なく俺の生姜焼きも完成した。
美味かった。

雨の日曜の午後、
そんなウソ話を考えながら豚肉の生姜焼きを作って食べた。

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